家族連れが乗る自動車で、幼児がリアシートに座り、時おり立ち上がって、車内をウロウロと歩き回ったりシートを飛び跳ねたりする光景をよく見かけます。これだけでも危なっかしいなぁと心配になりますが、よく見ると、運転席と助手席の両親はシートベルトを締めているというケースは本当に多いです。
大人はシートベルトという命綱を装着しているにもかかわらず、可愛い我が子には命綱をつけず、自由に車内を飛び跳ねているのを何とも思わないという現実。まるでブラックジョークじゃないかと思います。
「後部座席=安全」ではありません
これは家族連れに限った問題ではありません。
前席に座った際にはシートベルトを締めるのに、後部座席に座った際にはシートベルトをしない人は非常に多いものです。警察庁とJAF(日本自動車連盟)が合同で実施したシートベルト着用状況調査(2017年)によると、一般道路での運転席の装着率は98.6%、助手席は95.2%だったのに対し、後部座席では36.4%に留まっています。
これは、高速道・一般道を問わず、全席でのシートベルト着用が義務化されているものの、一般道では後部座席未装着であっても違反点数や反則金での罰則がないため、違反抑止効果が削がれてしまっているのが原因とみられます。後部座席での着用が軽視されている現状を反映し、非着用で亡くなった人が座っていた座席の位置は、後部座席が57.1%で最も高くなっているほか、非着用の場合の死亡率は、着用時の15.3倍というデータも公表されています(いずれも警察庁調べ、2017年)。
なぜチャイルドシートに座らせないのか
幼児の場合、シートベルト装着=チャイルドシートにしっかりと座らせることです。
ただ、我が子をチャイルドシートに座らせない親はたくさんいます。その理由を親の立場から考えてみますと、確かに、慣れるまで子供は嫌がりますし、嫌がるのを無理やり座らせるほうが可哀そうという気がしないでもありませんし、チャイルドシートの購入費用が高くつくという問題もあるのではないかと思います。
想像力を働かせてください
でも、よく想像してみてください。
万が一の事故の際、親はシートベルトに守られて無事だったのに、可愛い我が子は事故の衝撃で車内で身体を強打し大けがを負ったり、最悪の場合は、窓ガラスを突き破って車外に放り出されて尊い命を落とすこともあるのです。このような悲しい事故の発生がしばしば報じられています。
交通事故はいつ誰の身にも降りかかる恐れがあります。楽しいはずのお出かけが暗転する恐れは常にあるのです。そういった状況に備えるのが、シートベルトでありチャイルドシートの使用です。
欧米をはじめとする諸外国はチャイルドシート使用を義務付けている国が多く、年齢や身長、体重などによって使用要件が細かく規定されている国々も多数存在します。ぜひ、今一度シートベルトやチャイルドシートの重要性を認識し、装着を徹底するようにしましょう。