ガソリンスタンドなどで時折見かける「オークション代行」という看板や案内。オークションというと、ネットオークションのヤフオクが有名ですし、美術品や骨とう品の取引の場として昔から存在していますが、「代行」とは一体どのようなものなのかを簡単に解説してみます。
自動車の卸売市場=オートオークション
最初に答えを書いてしまいますが、この場合のオークション代行とは自動車の売買を代行するという意味になります。
自動車の売買は、一般ユーザー同士の場合、いわゆる個人間売買と呼ばれます。一方、たいていの取引は、売る側あるいは買う側の片方が業者で、もう片方が一般ユーザーという取引が多いです。他方、売り手も買い手も業者という取引も存在します。これが、いわゆる業販と呼ばれるものです。
自動車の業販はもともと業者同士が独自の人脈や広告宣伝で行われていましたが、現在ではほとんどがオートオークションと呼ばれる卸売市場を介して行われています。
オークション代行は手数料商売
オートオークションは生鮮卸売市場などと基本的な仕組みは同じです。
車を売りたい業者や買いたい業者が集まり、卸売価格で取引する場です。そのため、小売相場よりも安く買えて高く売れるケースが多いのが特徴です。
卸売市場を利用するには古物商の許可が必要ですし、卸売市場の会員になる必要があります。そのため、売る場合も買う場合も一般ユーザーが利用することはできません。
しかし、卸売市場の利用資格を持った業者が、一般ユーザーの代わりにオークション売買を行い、その対価として若干の手数料を徴収するというビジネスを行っています。これがオークション代行です。
オークション代行は否定的意見も根強い
ユーザーにとって、オークション代行は、安く買えて高く売れるというイメージがあります。
しかし、その利用には異論を唱える自動車業界関係者も多いのが実情です。例えば「卸売価格をユーザーに開示して薄利で商売するのは、自分で自分の首を絞める行為」といったものや、「仕入れた自動車をしっかりとメンテナンスや清掃をし、商品として店頭に並べて売るのが中古車販売の常道」「業界モラルに反する」といった反対意見が根強く存在します。
実際、オートオークションでは、オークション代行に類する取引を規約で禁止しています。ところが、一般ユーザーを連れてオークション会場を訪れ、購入予定車両を下見させたり、落札用のボタンをユーザーに操作させているような事例も見受けられます。
特に、購入時においては、価格面の安さを重視するあまり、メンテナンスなしで販売される事例も多いようです。購入時の価格が有利だったとしても、後々のことを考えると、あまり積極的にはおすすめできない取引方法だといえます。