現在販売されている乗用車では、車体の側方や斜め後方を確認するための装置としてドアミラーが世界的に普及しています。また、トラックなどでは、ドアミラーではないものの、ピラー部分から支柱が伸びて取り付けられている確認用ミラーもありますし、タクシー業界や高齢者の一部などでは、フェンダーミラーを愛用している事例もあります。
このように、取付方法や名称こそ違えど、側方や後方確認の手段として物理的な「鏡」が広く用いられていますが、それを覆す新装備「カメラモニタリングシステム」を搭載した、いわゆる「ミラーレス車」が広く普及する可能性があります。
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ミラーレス車とはどのようなものか
「ミラーレス」という言葉を聞いて真っ先に思いつくのが、「ミラーレス一眼」と呼ばれるデジタルカメラです。
これは、通常の一眼レフカメラに内蔵されている視野確認用の可動式ミラーや光の向きを変えるプリズムを排し、画像センサーから送られてきた映像を素早く処理して、カメラ背面の液晶モニター、あるいは電子式ビューファインダーと呼ばれる視野確認装置に投影するようになっています。
今回ご紹介するカメラモニタリングシステムも同様の考え方です。ドアミラーの代わりにデジタル式のカメラセンサーを設置し、それを車内に取り付けられている液晶モニターに映すようになっています。
ミラーレス車のメリット
ミラーレス車には様々なメリットがあるとされています。
まず、ドアミラーの大きな出っ張りが無いことによる車体デザイン性の向上です。ドアミラーは必要不可欠なものとはいえ、やはり「出っ張り」であることには違いがないわけで、それを排することによって、よりスタイリッシュなデザインになると意見があります。
また、カメラセンサーで撮影した画像を電子的に処理することで、肉眼では見えづらい暗闇であっても、明るい画像に補正し、より見やすくすることもできます。
ミラーレス車のデメリット
一方、ドアミラーをカメラセンサーに置き換えることによるデメリットとして挙げられるのが、費用面が通常のドアミラーと比べて割高であること、そして、悪天候時の視認性です。
例えば、雨滴や雪の付着によって視認性が大きく落ちることが懸念されます。撥水処理や機械的なワイパー設置などによってクリアできるという見方もありますが、これらの点を改善できるかが、通常のドアミラーにとって代わることができるかのキーポイントと言えそうです。
画像出典:国土交通省