高速道路でおなじみのETC(電子料金収受システム)。これが日本に導入されたのは2001年です。以後、じわじわとETC利用車が増え、いまや高速道路におけるETCによる料金支払いは9割を超すまでになっています。
現在ETCは、ETC2.0という新規格が登場しているものの、初期の頃に車両に取り付けて利用登録(セットアップ)を行ったETC車載器であっても、規格上は特に問題なく使用できますが、「2022年のうちに一部のETC車載器が使用できなくなるのではないか?」という情報が飛び交う状況となっています。
「旧スプリアス認証」を受けた機器が使用不可になると発表
これは2018年9月3日に、国土交通省およびNEXCO(東・中・西)、阪神高速、首都高速、本四高速、ITSサービス高度化機構が連名で発表した「旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器について」と題する公式発表に基づくものです。
これによると、「電波法関連法令の改正により、一部のETC車載器は2022年12月1日以降ご使用できなくなります」と明記されています。使用不可となるのは、2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け、製造されたETC車載器です。
スプリアス認証とは、通信を伴う電子機器が発する特定周波数の電波以外の不要電波の漏洩が、基準以内に収まっていることを測定し、国からお墨付きを得るものです。この認証が、旧基準にて行われた製品については、2022年12月1日以降は使用してはならないというわけです。
なお、この電波法関連法令の改正は日本が独断で行うものではなく、世界無線会議(WRC)という国際機関が採択したスプリアス許容値の世界的な改正に伴うものです。
もしかすると使用できてしまう可能性も
では、2022年12月1日以降、使用不可となるETC車載器で通行料を支払うことはできなくなるのかというと、現時点ではまだ曖昧です。
国土交通省では「安全に配慮した運用となるよう検討致します」と発表しており、もしかすると、ETCレーンのバーを開かないようにする措置を講じることなく、そのまま継続使用できてしまう可能性もあるわけです。国や関係機関が公式発表した情報にもかかわらず、「使用できなくなるのではないか、という情報が飛び交う状況」と記事冒頭に書いたのはこのためです。
一方で、電波法上、旧規格での使用は明確な違反となります。そのため、電波法に抵触することのないようにしなければなりません。どのETC車載器が旧スプリアス認証を受けた製品なのかは、使用中のETC車載器のメーカーに問い合わせが必要です。
お使いのETC車載器が旧基準のものだった場合であっても、施行まではまだ4年あります。その間に、メーカーが当該製品について新基準で新たに認証を受けることにより、ユーザーは総務省への簡単な資料提出だけで継続使用できる可能性もありますので、詳細はメーカーに確認するようにしてください。