高速道路上での逆走は正面衝突事故の可能性がある、とても危険な行為です。国土交通省の統計資料によると、平成23年から平成28年の高速道路上での逆走事案は、少ない年で143件(平成25年)、多い年だと259件(平成27年)も起きています。
この件数は、事故または逆走ドライバーの確保に至ったことで明るみになったものだけですので、実際に起きている逆走の総件数を示す数字ではなく、あくまで氷山の一角に過ぎないものと考えられます。また、同じ期間に実際に事故に至ってしまった逆走事案の件数も公表されており、少ない年で27件(平成23年)、多い年は57件(平成28年)も事故が発生しています。
逆走による死亡事故に至る確率は通常事故の約40倍
全国の高速道路における死亡事故総数の中で逆走が原因の死亡事故の確率は、通常事故の約40倍と国土交通省では公表しています。
これは、逆走は正面衝突事故につながりやすい上に、正常な走行をしている自動車も逆走をしている自動車も、咄嗟にハンドルを切るなどして、自動車の横転につながりやすいことが原因と考えられます。
逆走車が急に前方からやってきたらどうするか
では、運悪く実際に逆走車が前方から迫ってきたらどうすべきなのでしょうか。
もしも前方から、急激に先行車両(のように見える車)が迫ってきた場合、それが逆走車でなければノロノロ運転の車か、故障等による停止車両なのですが、もしも逆走車だった場合は、自分の車が前に進む速度と逆走車が迫ってくる速度が重なり、相対速度が倍増(両車の速度が同じ場合)することなります。そのため、前方から迫ってくる感覚が通常とは全く異なるわけで、そのことにできるだけ早く気づき、向かってくる車にヘッドライトをパッシングして警告を発するとともに、素早く別の車線に移動するなどの回避行動が必要となります。
その際の注意点ですが、逆走車のドライバーは自身の逆走に気づいてない場合が多く、逆走ドライバーから見て左側が路側あるいは走行車線側(左側車線)と勘違いしがちです。ただ、現実に逆走しているわけですから、路側や走行車線側ではなく、追い越し車線や中央分離帯の方向に車を寄せていることになります。
その特性から考えると、逆走車が前方から急激に迫ってきた際に咄嗟の回避行動をする場合は、向かって左側に車を寄せる事が、衝突回避あるいは衝突被害軽減につながりやすいと考えられます。もちろん、相手がどのような行動をとるかは予測しづらいため、臨機応変に対応するしかありません。
加えて、高速道路や一般道のバイパス区間においては、「もしかすると逆走車が迫ってくるかも」という警戒心を常に持って運転することが、今後ますます重要になってくるといえます。