高速道路は目的地にスピーディーに移動できる交通手段として、ありがたい存在です。一方で、自動車専用道路であるがゆえに、高架道路を駆使するなど、一般道とは隔離した構造となっているがゆえに、必ずインターチェンジ(IC)が存在します。
ICはある程度の間隔を置いて設置されているため、例えば一般道で曲がるべき交差点を通り過ぎた場合のように、「次の交差点で曲がって迂回すればいいや」と気軽にリカバリーをしづらいものです。特に、次のインターチェンジまで数十キロ程度離れていることもざらで、降りるべき出口を通り過ぎてしまった場合の距離的ロスや時間的ロスは非常に大きくなります。
そのため、焦ったドライバーが、出口の間違いに気づいたあと、常識では考えられない行動を取ってしまう例は、あとを絶ちません。
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高速道路上での後退や逆走が頻発
例えば、出口を行き過ぎてしまったことに気づいて、即座に気が動転してしまい、追い越し車線を逆走して正面衝突事故を起こしたり、高速バスの運転士が、降りるべき出口を過ぎてしまい、乗客を乗せたまま高速道路の路肩を数百メートルも後退させたことが発覚し処分を受けたりといった、信じられないような事例が頻発しています。
これらの行動を取る背景には、次の出口で降りるとなると遠回りで時間が大幅にロスするという焦りもあるでしょうし、それに加えて、遠回りした分の高速料金が無駄になるという心配もあるはずです。実は、これらの焦りや心配は、降りる出口を間違えた以上は、完全には解消できないものの、負担をかなり軽減できる方法があります。それは「特別転回」という措置です。
特別転回とは?
特別転回とは、本来降りるべき出口を間違えてしまった場合に、次の出口料金所の係員にその旨を申告することで、行き過ぎてしまった区間の通行料金と、本来降りたかった出口に戻るまでの通行料金を免除するという特別な対応です。
この対応のメリットは、間違えた区間の通行料金がかからない分、金銭的負担が軽くなるという点や、本来の出口に戻る際にも高速道路が使えるので、一般道路を走るのに比べて時間の短縮につながるという点です。高速道路上での後退や逆走は、道路交通法に違反するのみならず、重大事故に直結する極めて危険な行為です。ついうっかりは誰にでもあることです。
もしもの際には、「特別転回という対応があったな」というのを思い出し、冷静に対応するようにしましょう。