ここ数年で全国的に導入が増えているのが「ラウンドアバウト」です。しかし、無数に存在する十字路やT字路などの普通の交差点と比べれば、圧倒的に数が少ないため、まだ実物を見たことも実際に走ったこともないというドライバーが大半ではないかと思います。
しかし、今後導入事例が増えていくに従い、このラウンドアバウトを通る機会があなたにも訪れるかもしれません。そのときに慌てなくて済むよう、予備知識を頭に入れておきましょう。
ラウンドアバウトの考え方
ラウンドアバウトとは「回り道」という意味の英語です。
日本語では「環状交差点」と訳されています。ラウンドアバウトは、各方面からの道路を走ってきた通行車両を環道と呼ばれる円形の道路へと導き、回り道させることで、各方面へと通行車両を捌いていく、特殊な交差点です。
「捌いていく」と書きましたが、通常の交差点のように信号機が通行車両を捌くのではなく、あらかじめ決められたラウンドアバウトの通行ルールに従って、ドライバー自身が自主的かつ安全に環道を通過し、目的の方面の各道路へと通り抜けていくという基本的な考え方によって、運用がなされています。そのため、ラウンドアバウトには信号機は設置されていません。
ラウンドアバウトは「環道優先」
では、ラウンドアバウトにおける通行ルールにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
まず、ラウンドアバウトの大前提は「環道優先」です。これは環道の直径や長さにもよりますが、円形道路である以上は、環道内に入れる自動車の量にはおのずと限界があるため、環道に入る車よりも出ていく車が多くなければならないからです。
ラウンドアバウトの通行に慣れないうちは、環道内を走行中に、環道外の道路から環道に進入しようとしている別の車両に対し、一時停止するなどして割り込み進入を促してしまう場合があります(筆者も最初はそうでした)が、これは原則としてNGです。もちろん、強引に進入されそうな場合など、危険回避のために減速あるいは一時停止するのは仕方ないですが、環道走行時に「譲り合いの精神」を持ち込んで野放図に割り込ませるのは慎みましょう。
また、各方面から環路への接続点には、ラウンドアバウトの環路があることを表示する円形矢印の標識に加え、「譲れ」の標識も設けられており、環路通行中の車両を優先させるようになっています。
ラウンドアバウトは「時計回りの一方通行」
もう一つ、ラウンドアバウトには基本的な大前提があります。
それは「時計回りの一方通行」です。アナログ式の時計を想像してみてください。6時の位置にある針を4時の位置に合わせたい場合、6時から4時に針を反時計回りに回すのが手っ取り早いです。
しかし、この考え方はラウンドアバウトでは禁物です。6時の位置にある道路から4時の位置にある道路へと走り抜ける場合、必ず時計回りで走行しなければなりません。遠回りにはなりますが、これを守らないと、一方通行道路の逆走となり、正面衝突事故の原因ともなります。