2019年4月以降の東京都内では、10月末までの約7ヶ月間で運転免許を自主返納した運転手が4万人以上に上り、前年同期の2万3473人の1.8倍の数字になりました。
そのうちの9割超が65歳以上の高齢者世代で、警視庁は「事故を契機に安全運転の意識が高まっている」と考えているようです。
池袋で起きた暴走事件をきっかけに、同世代の芸能人が免許返納をするなどで話題となり、自主返納の動きの追い風となっているのではないでしょうか。
また、「車がなければ生活が不便」という人への配慮が挙げられており、自治体もタクシー券の支給やコミュニティーバスの運行などの対策案を進めています。
一方で、「マイカーとの利便性は劣るため運転条件や健康診断などを導入するべき」との専門家の声も挙がっているようです。
今後の課題としては、急加速帽子機能付きの「安全運転サポート車」のみの運転制限制度の導入や、高齢者ドライバーの運転技能を確認するための実技試験の導入などを検討するなどの対策が急がれています。
出典:https://www.sankei.com/affairs/news/191112/afr1911120013-n1.html
●高齢者の危険運転!池袋暴走事件はどうなった?
2019年4月に池袋で起きた高齢者の暴走運転。
この事故で2人が死亡し、9人が怪我をする大事件となったため、覚えている人は多いと思います。
インターネットやSNS上では「なぜ加害者は逮捕されないのか?」という声も上がり、多くの人が署名活動に参加し、39万筆の署名も集めたことで事件後しばらくも話題となりました。
ではなぜ加害者男性が逮捕されなかったかというと、
・逃亡の恐れがなかった
・事故の証拠隠蔽の恐れがなかった
大きな視点で見ると、この2つの点から逮捕に至らなかったようです。
というのも、交通事故を起こしてしまった場合、現場から逃走を図ろうとするなど「ひき逃げ行為」や「当て逃げ行為」があった場合には即逮捕されてしまいます。
また、嘘の証言をして捜査を混乱させたり、ドライブレコーダーの存在を隠すなどの証拠隠蔽も逮捕に値します。
ただ、この事件では加害者男性自らも入院をするほどの怪我をしてしまったことから「逃走の恐れなし」とみなされ、事故後に警察が無事ドライブレコだーを押収したことから「証拠隠蔽の恐れなし」となり、逮捕されなかったという背景があります。
また、送検が遅かったことについては「ブレーキが利かなかった」「機械(車)側の問題が考えられる」という証言から、警察は車の整備不良を視野に入れて慎重に捜査しなければいけなかったという事情もあったのです。
逆に言えば、もしも高齢者が人を巻き込む事故を起こし、パニックになってその場から逃走を図ったり、ドライブレコーダーなどの証拠を隠蔽した場合には即逮捕となります。
●高齢者事故の責任は家族にも飛び火する?!
高齢者が交通事故を起こしてしまった場合、場合によっては同居者である家族の監督責任が問われます。
また、大きな事故であればあるほど加害者は家族に相談をして隠蔽を図るケースもあるようですが、家族が証拠隠蔽に加担した場合は警察に対する虚偽証言として罪に問われてしまいます。
大きな事故ほどパニックになってしまいますが、人命救助を第一に優先し、事故の証拠は警察に提出して誠意と反省を示しましょう。
●まとめ
相次ぐ高齢ドライバーの暴走事故を未然に防ぐには、免許証の返納や車を手放すことが一番確実です。
時に交通事故は自分の人生だけでなく他人の人生をも奪うこともあります。
高齢者ドライバーがいる家庭では、任意保険の適応範囲者の見直しや免許証の返納、車を手放したあとに考えられる問題について一度家族で相談してみましょう。